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Camera::カメラ
Sun, 17 Jun 2007 19:40:00 +0000
友達のYu君に書き直して貰いました。


私が小さいころから、お父さんはこの古くて、黒くて、汚れだらけのカメラを持っていた。あるクリスマスの夜、お父さんがそのカメラを屋根裏部屋から出そうとしていた日のことを思い出す。何年間も、静かに屋根裏から救い出してもらいたかったのではないだろうか、と私は思っていた。つまみはひとつしかなかったけれども、実際はどうやって使うか分からなかった。取り敢えず、そのカメラを暖炉の上において、何年間も目にしているうちに、だんだんと、このカメラの小さくて悪質な「目」に見慣れていった。

先週、久しぶりに家に帰った。居間に入った途端、見覚えのカメラを見るとぶるぶると戦慄した。その機械に見られているという感じがした。カメラは、私の操作に従う機械であるが、実は反対で、人間様を調べている観察者のようであった。私とカメラは、ぽかんとしながら、互いに見つめ合っていた。突如、シャッター音がした。嘘ではない。そして、そこから私の写真がでてきたのである。信じ難いことだけど、出てきた写真の私は同じ洋服を着ていて、同じくぽかんとした顔だった。しかし、写真の私は七歳だった。